【木村社長が語る あわあわ便り】あの嫌な「生乾き臭」について考える

ストア:木村石鹸掲載日:2022/08/01

あの嫌な「生乾き臭」について考えてみる

こんにちは。社長の木村です。

最近、知人と話してた時に、「生乾き臭」はどうにかならないのか、という質問をされたんですね。その知人は「生乾き臭」のする衣類をとにかく沢山の洗剤で洗う、さらに、匂いの持続効果のある柔軟剤を沢山入れて臭いを消すことで対処してる、と言ってました。

これは、正直、対処法としては良くないんです。

でも、意外とこういう対処をしている人もいるんじゃないでしょうか。臭くなった衣類をとにかく洗ってキレイにする、そのためには洗剤沢山入れる、さらに良い匂いを付ける、そのために柔軟剤沢山入れる。

では、「生乾き臭」の適切な対処法とは何か、考えてみたいと思います。

生乾き臭の原因は菌

まず、そもそも「生乾き臭」の原因は何か。

これは、モラクセラ菌という菌なんですね。この菌が繁殖して、代謝物を出します。それが臭いの原因です。

モラクセラ菌は湿気を好み、皮脂などを栄養に増殖します。なので、汗をかいて湿った衣類を洗濯機に放り込んでしばらく置いておくと、それだけで繁殖したりします(洗濯機内はかなり多湿ですし)。

モラクセラ菌は、普通に洗濯しただけでは取り除くことは難しいと考えておいたほうが良いです。洗剤量を増やしても、汚れには効果があるかもしれませんが、菌には大して効果がなかったり(洗剤量を増やしすぎるのは、実は「汚れ」に対しても色々問題がありますが、その点はまた別の機会でご説明します)。

洗濯して衣類を干し、乾いていく間に、またモラクセラ菌が繁殖してしまうんですね。「生乾き臭」って、「部屋干し臭」とも言われたりしますが、要するに、「部屋干し」だと乾燥までに時間がかかるので、モラクセラ菌がより繁殖するのに好条件だからです。

ちなみに、モラクセラ菌は紫外線にも強いので、外で干したから大丈夫というわけではありません。単純に乾くのが早いと繁殖が抑えられるので、臭いがマシというだけなんです。

柔軟剤を沢山入れて臭いを消すのも、菌そのものを殺してるわけではなく、匂いで臭いを上書きしようという発想なので、根本的な解決にはなりません。むしろ、柔軟剤の入れすぎは、衣類に柔軟剤の成分を沢山残すことになり、それがモラクセラ菌の餌になったりで、余計に繁殖を促してしまうことにもなりかねないんですね。

モラクセラ菌は熱に弱い

「生乾き臭」がするときの対処方法は様々ありますが、まず知ってておくべきことは、モラクセラ菌は60度以上の熱で死ぬ、ということです。

一番てっとり早いのは、60度以上のお湯に衣類をつけ込むということです。10分程度つけ込めば、モラクセラ菌は死にます。

コインランドリーなどの60度以上の高温になる乾燥機にかける、という方法もあります(自宅の乾燥機とかだと60度以上になるものは少ないんじゃないかと思います)。

あ、そうそう。コインランドリーといえば、「Baluko Laundry Place」です。関東中心に140箇所ぐらい展開してるコインランドリーチェーンです。ここには通常洗浄とは別に、弊社の「SOMALI」を使ったナチュラルコースが使える洗濯機が設置されてる店があります。お近くで見つけたら、ぜひご利用いただけると嬉しいです。
いずれの方法でも繊維を痛めてしまったり、縮んでしまったりすることもあるので、その繊維が大丈夫かどうかは洗濯表示などを見て判断する必要があります。

モラクセラ菌と言うぐらいだから「除菌」効果がある洗剤を使えば良いのではないかと考える人も多いでしょう。

これも気をつけないといけないのは、「除菌」と謳ってる製品の「除菌」は、どの菌を対象にしたものなのか、ということです。

日本石鹸洗剤協会では「除菌」を定義していて、「除菌」を謳うことができる製品には、こういう試験でこういう結果がでなければならないという決まりがあります。この中で菌の種類としては、「黄色ブドウ球菌」「大腸菌」という2種が特定菌種として定められてます。

つまり、「モラクセラ菌」に効果がなくても「除菌」表示はできるのです。なので、「除菌」が謳われている洗剤だから大丈夫、というわけではないんですね。その辺は各洗剤によって違いがあると思うので、各メーカーに確認してみてください。

過炭酸ナトリウムにつけ込むのも効果あり

60度以上での衣類のつけ置きが難しい、近くにコインランドリーがない。そんな方は、「過炭酸ナトリウム」でのつけ置きも効果があるので試してみて下さい。

過炭酸ナトリウムは様々な洗剤の主原料として幅広く使われるものですが、これ単体でも色んな用途に使えてとても便利です。僕は自宅には必ず、過炭酸ナトリウムを最低1kgはストックしています。

「生乾き臭」で臭くなったタオルや衣類を、過炭酸ナトリウムでつけ置きします。過炭酸ナトリウムの反応を促進させるには40度ぐらいのお湯が丁度良いです。

量の目安は、水30Lに対して小さじ2〜4杯程度ですが、別に量を入れすぎたから駄目というわけでもありません。

2時間ほどつけ置きし、洗濯機などでしっかり濯いで下さい。これで生乾き臭の元凶、モラクセラ菌はだいたい退治できると思います。

そもそもモラクセラ菌を繁殖させないようにするためには

そもそも重要なのは、モラクセラ菌が繁殖しやすい環境をつくらないということです。

皮脂や汗がついた衣類を洗濯カゴや洗濯機に放り込んで放置しないとか、洗濯物をためずにすぐ洗うとか、風通しの良い場所に吊るしておくとかね。洗濯の前に菌を繁殖させてしまわないようにすることが大切です。

洗濯物を干す時も、洗濯物同士の間隔を開けて風通しを良くしたり、室内干しで風がないところであれば、扇風機や送風機などを使うなど、できる限り風が当たって洗濯物が早く乾くようにするのがコツです。

「生乾き臭」が気になる方は、ぜひご参考にしていただければと思います。

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eco friend|過炭酸ナトリウム 1kg
eco friend|過炭酸ナトリウム 1kg
660円
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木村石鹸

くらし、気持ち、ピカピカ 大正13年創業の老舗石鹸メーカーです。 国内で数少ない釜焚きの純石鹸シリーズSOMALIなど、 小さい会社にしかできないブランドづくりに日々取り組んでいます。もっと見る

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