『ときめきくらしびと』第1回 森上ヨーコさん|対象物が美しいからときめくのではない―朝5時からの欠かせない表現時間

ストア:くらしきぬ掲載日:2021/05/07

ときめきくらしびと 第1回 森上ヨーコさん

くらしきぬのお客様とのおしゃべりを通じて、日々の暮らしの中で「ときめき」を見つけるコツを探る『ときめきくらしびと』。第1回は二児の母であり、出張ランチも営む森上ヨーコさんにお話を伺いました。
「使い古したくらしきぬの靴下をターバンにして頭に巻いている人がいる」そう聞きつけてから、ずっとヨーコさんのことが気になっていました。客観的に見れば“サステナブル”な行動も、楽しそうなお仕事も、自分の欲求や違和感に素直であることが起点となっていそう。しかしそんなヨーコさんも、「空気読み子」になってしまう瞬間があるのだとか。自分と他人。心地よいバランスで暮らすための秘訣を探ります。

プロフィール

森上ヨーコさん|岡山県在住・主婦・「よぉよぉ食堂」主宰。25歳のとき、パートナーの転勤で岡山へ。花市場、出版社での勤務を経て、今はお二人のお子さんを育てながら出張食堂「よぉよぉ食堂」を運営。好きな食べ物は、豆と餅。

「なんかめっちゃ楽しそう!」のファーストインプレッションを大切に

―お二人のお子さんを育てながら「よぉよぉ食堂」をされているということですが、ヨーコさんのお仕事について教えてください。
私は25歳のときに夫の転勤で岡山に来て、当時は知り合いも誰もいない状態でした。でも岡山の女性向け情報誌をコンビニで立ち読みしていたら、「なんかめっちゃ楽しそう!」と思って電話をかけてみたら採用されて、出版社に就職したの。取材で岡山のあちこちを回るから、すさまじい勢いで岡山のことを知ることができました。

退職後に出産して、しばらくは専業主婦。今は「よぉよぉ食堂」という名前で、いくつかのカフェに出張してランチを作っています。
―「よぉよぉ食堂」はどうして始めようと思ったんですか?
友人夫妻が営む「うり坊舎」というお店でアルバイト勤務をしていて、夫妻が赤ちゃんを授かったタイミングで「産休育休を取るためにしばらくお店を閉める」と言われたの。私はそこでの仕事が楽しかったから閉めたくなくて、おにぎりとお味噌汁でもよければ自分にも作れるかな…?と。ダメ元で「私が代理でやってもいい?」と聞いたら、まさかのOK。

二人が戻って来るまでの期間限定で始めたものが、徐々におかずも増えて、二人が復帰されてからも続いて、他のカフェからもお話をいただくようになって…今では屋号までついちゃいました。「うり坊舎」でのランチは月2回ほどさせてもらっています。
▲ 旬の野菜をたくさん使った「よぉよぉ丼」。目にした瞬間から「おいしい」を予期させてくれる彩り。
▲ 旬の野菜をたくさん使った「よぉよぉ丼」。目にした瞬間から「おいしい」を予期させてくれる彩り。
―なるほど。お仕事を選ぶときの判断基準はなんですか?
やりたいときは、すぐに「やります!」と言います。その後、実践に必要なことをクリアしていく。つまり、ファーストインプレッション!(笑)
▲ 「今日の取材のためにZOZOTOWNでワンピース買ったの~」と話すワンピースがとってもお似合い。
▲ 「今日の取材のためにZOZOTOWNでワンピース買ったの~」と話すワンピースがとってもお似合い。

朝は表現する時間、昼は人とエネルギーを交換する時間

―子育てに出張ランチに、充実していそうなヨーコさんですが、基本的な一日のスケジュールを教えてください。
ランチの日とそうでない日で違うけど、いずれにしろ起きるのがめちゃ早くて、4時とか、遅くても5時とか。そこから家族が起きてくるまでの6時半までの間に、ランチメニューの試作をしたりお店に出すメニュー表を作ったり、前日に起きたおもしろおかしいことを4コマ漫画にして書いたりしています。朝の1時間半は、表現の時間。
―朝イチで漫画描くってすごいですね…!朝、がいいんですね。
やばいっしょ~気持ちわるいでしょ(笑)お店に出すメニュー表も、切り絵にしたり夫が作った消しゴムはんこを押したり。一人で集中したいから、朝やる。朝は何より体が元気。体がリーダーなのが朝で、頭がリーダーなのが夜、という感じがしていて、体が冴えているときの方がいい仕事ができる気がします。
▲ 切り絵で作成したという、ヨーコさんお手製のメニュー表。
▲ 切り絵で作成したという、ヨーコさんお手製のメニュー表。
朝が表現する時間だとしたら、昼間は人と何かを交換し合っている時間。一日に一回、他人が淹れたコーヒをいただくことにしていて大事な楽しみなんだけど、お金とコーヒーを交換したり、お母さんたちとおしゃべりするのもエネルギーの交換で、充電させてもらってる。コーヒーはコンビニのことももちろんあるんだけど、「このコンビニのここのおばちゃんがいい」っていうお気に入りがある(笑)

「洗濯してる感」がいやだった。常識よりも自分の「心地いい」に正直になる

―日々の中で楽しみを作るのがすごくお上手なんですね…!「使い古した靴下をターバンにされている」というエピソードがとても気になっていたのですが、どうしてターバンにしようと思ったのでしょうか?
冬場はくらしきぬのニーハイカバーソックスがすごくよくて履き倒しているんだけど、どうしても足裏の部分が徐々に破れてきちゃう。それでも足裏以外の部分はきれいだから捨てるのにはもったいないなぁと。仕事柄、料理をするときは髪の毛が落ちてこないようにターバンをするから、ターバン作れるかな?と思い立ったんだけど、1年目は試作に失敗して、2年目でやっと完成したの!(笑)
―なるほど。「サステナブルな行動をしよう」という意識はなかったということですよね。
▲ ニーハイカバーソックスの「黒ごま」で作られたターバン。お仕事でランチを作るときに巻いてくださっているそう。
▲ ニーハイカバーソックスの「黒ごま」で作られたターバン。お仕事でランチを作るときに巻いてくださっているそう。
―「楽しいかも」が結果的にサステナブルな行動につながっているのが素敵です。意識の有無に関わらず、他にも環境に配慮した習慣などがあったら教えてください。
私、料理も掃除も好きなんだけど、洗濯には苦手意識があって。「なんでかな?」と考えてみると、洗濯カスやカビだらけの洗濯槽に洗剤を入れて回して、衣類がきれいになっている実感がないからだと気づいたの。もちろんたまに洗濯槽も掃除はしているんだけど、汚れている洗濯槽を見たらやる気なくすよね?洗剤もケミカルなものは香りが強すぎるし気に入ったものがない。

一方、掃除にはクエン酸と重曹を使っていて、クエン酸は黄ばみの汚れに強い、重曹は油汚れに強い、ということが実感として分かっていたから、洗濯にも使うことにしたの。

結果、洗濯が好きになりました!洗濯物もきれいになるし洗濯槽もピカピカだし、洗った後の水も汚さないことに気づいた。ネットで調べてみると、邪道な洗い方という情報もあるんだけど、私は洗剤を使うよりもこっちの方が好き。
―知識だけでなく、「実感として分かっていた」というところが重要そうですね。
自分の心地よさを追求していけば、自然とサステナブルな行動にたどり着くのかなと思った。「洗濯には洗剤を使う」という常識に対してほんのりあった違和感に正直になった。でもね、柔軟剤の香りをまとってバッチリメイクしてパンプスを履いている、その美意識も否定したくないし、「いいな」と思っていたい(笑)

対象物が美しいからときめくのではない。汚い川でも「きれいだな」と思える日がある

―自分にとっての「心地いい」を大事にしていれば、日々、ときめく瞬間も多そうですね。
うん!「ときめくもの」と「ときめかないもの」で、対象物が分かれているわけじゃない。すっごい汚い川でも「きれいだな」って思える日があるでしょ?でも逆に、お花とか赤ちゃんとかでも「全然かわいいと思わん」って日もある。だから問題は対象物にあるのではなくて、対象物が情報として自分の耳や目に入ってきた瞬間、どういう反応として出てくるか、だと思う。
―自分の状態にかかっている、ということでしょうか。
そう。よくときめくときは、心も体も調子がいいんだと思うんだけど、でも調子がいいときが善で、調子が悪いときが悪かというと、そうでもない。
―どちらか一方ということではなく、どちらの波も繰り返し訪れますもんね。きれいなお花にときめけないとき、「今はこうなんだ」と認識して、受け止めているのでしょうか?
受け止められたらいいよね。自分のことはよく観察して、例えば体がしんどいなら半身浴を長くしたりってアプローチをしてみたりはするけど、でも結局夜寝るときに家族とくっついて寝たら、「まぁいっかな」と思えちゃう(笑)
―素敵です…。ときめくときは、どういうことにキュンとしますか?
お料理しているときに、野菜の美しさによくはっとします。あとは、「よく、こんなところに咲きましたね」って場所でかわいく咲いているお花も。
▲ 最近キュンとした、おでんを作るときにダイコンの面取りで切った部分。捨てられずに、そのまま食べたそう。
▲ 最近キュンとした、おでんを作るときにダイコンの面取りで切った部分。捨てられずに、そのまま食べたそう。
―ヨーコさんの心が美しいんだなって思います。私はまだまだ修行が必要なのですが、なるべく自分が良い状態でいるために、心がけていることはありますか?
とにかく、家族となかよく楽しく暮らす。体調管理としては、私は冷えとりがベースにあるから、半身浴をめっちゃする。毎日1時間は絶対にしていて、調子の悪いときは朝晩で1時間ずつ分けてやったり。お風呂に入っているときは、日記形式のエッセイを読むことが多いです。自分とは全く異なる他人の人生を知れるから、ちょっとしたトリップを味わえる。
―「身近な人を大切にできているかどうか」が状態を知るバロメーターだったりしますよね。
やっぱり、一緒にいる人がみんな楽しく、身近な人が元気なのが一番。

あ、でもね、気をつけないといけないことがあって、妻やお母さんをしていると、ついつい「こうしてほしいかな?」と読んで、相手の気持ちを基準に行動しちゃう。それが続くと絶対に疲れたり機嫌悪くなったりするから、ご飯や行きたい場所も一応みんなの希望を考えるけど、自分の望みもちゃんと聞く。バランスが大事。
―いつも周りの人のことをたくさん考えられているんですね。
小さいときは田舎の大家族だったから、わりと空気読み子だったかも。あるとき、はたと「私はどうしたいんだっけ?」と考えたときに「わからない」ということがあって愕然とした。今も逐一「どうしたい?」と自分に聞いています。だいたい「どっちでもいい」だから、そしたら家族に合わせたりもするけどね!わかんないから合わせるのと、「自分はどっちでもいい」とわかった上で合わせるのでは全然違うもんね。
―最後に、ヨーコさんにとっての「ときめき」を教えていただけますか?
「対象物の美しさに反応できたとき」です。

ヨーコさんのくらしきぬ愛用アイテム

くらしきぬ|シルク&ウール ニーハイカバーソックス
くらしきぬ|シルク&ウール ニーハイカバーソックス
3,685円
伸ばして履くとタイツ風になるのがお気に入り。履き倒したら仕事時に付けるターバンにリメイク。
くらしきぬ|麻シルク5本指ショートソックス
くらしきぬ|麻シルク5本指ショートソックス
1,650円
麻シルク5本指ショートソックスは、ショート丈だから夏も上に靴下を重ね履きしやすくて、コーディネートを邪魔しないから好き!
取材・文:佐藤文子
撮影:瀬良智也
ストア紹介

くらしきぬ

倉敷発、天然素材の靴下とインナーウエアのくらしきぬです。 せわしない日常の中で、ふわっと体も心もあたたまって「目の前の景色を大事にしたくなるものを」をお届けします。もっと見る

このストアの新着ストアレター